2023年10月に消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始して1年経過しました。インボイスを発行するには登録申請手続きが必要ですが、登録手続きの複雑さや情報不足、長期的な円安と物価高が続いている状況による経営への影響など、さまざまな課題が浮上しています。それらに加えて、免税事業者から課税事業者に移行すると「消費税の納税額はいったいいくらになるのか?」正直気になりますよね。
消費税の計算方法や制度は複雑で、一般課税・簡易課税・2割特例といった選択肢があるため、どちらを選ぶべきか悩む方は多いのではないでしょうか。これらの制度を理解して納税額を適正に把握してご自身のビジネスに最適な方法を選ぶことは、経営の健全性を保つために非常に重要です。
本記事では、免税事業者からインボイス発行事業者になった方が、簡易課税と2割特例どちらがご自身にとって得になるのか簡単にシミュレーションできる方法についてご紹介します。
(写真:freee)
freeeが2023年2月に提供開始した「消費税納税額シミュレーション」は、4つの簡単な質問項目(業種・売上高・経費・免税事業者からインボイス発行事業者になったか)を入力するだけで、一般課税・簡易課税・2割特例措置のどちらを採用すると納税額がお得になるのかを無料でシミュレーションして確認することができます。より正確な試算を試したい場合は「詳細入力モード」から確認することができるので、まずはご自身が分かる範囲で4つの質問項目を入力してみましょう。
(写真:freee)
例えば、職業がWebデザイナーの場合でシミュレーションしてみます。
- 業種は「サービス業(飲食店業を除く)」
- 年間の売上高は「400万円」
- 年間の経費は「30万円」
- 免税事業者からインボイス発行事業者になった方ですか?では「はい」を選択
以上の内容で入力・選択をして「計算する」ボタンを押します。
(写真:freee)
すると、一般課税では37万円、簡易課税では20万円、2割特例では8万円となり、結果として2割特例が一番お得になります。もしご自身の職業がどの業種に当てはまるかよく分からなかったり他の業種と比較してみたい場合は、(1)業種の項目を全て選択してシミュレーションしてみてください。
一般課税・簡易課税・2割特例の適応対象者とメリットは以下のとおり。
(写真:freee)
2割特例措置とは、対象者が免税事業者から課税事業者(インボイス発行事業者)となる場合で、消費税の納税額を売上税額の2割に軽減されるため、卸売業以外なら比較的お得な消費税制度とも言えます。但し2023年10月1日から3年間の期間限定となっている点に注意する必要があり、3年間の期間限定が過ぎたら一般課税か簡易課税かどちらか選択する必要があります。
簡易課税制度を利用する場合は納税地の所轄税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しておく必要がありますが、2割特例の適⽤にあたっては簡易課税制度のような事前の届出は必要なく、消費税の確定申告書に2割特例の適⽤を受ける旨を付記することで適⽤を受けることができます。
まとめ
今回のfreeeが提供開始した「消費税納税額シミュレーション」では、簡単なシミュレーションを通じて一般課税・簡易課税・2割特例のどちらを採用するとご自身のビジネスにとってより有利であるかについて判断する手助けとなるでしょう。
無料で利用することができますので、確定申告を無事に済ませるためにも時間に余裕がある時に一度シミュレーションしてみてはいかがでしょうか。
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